お米のトレンド情報
米の最新トレンド3選~多様化により広がる米の可能性~
米の最新トレンド3選~多様化により広がる米の可能性~
古くから日本人の食文化に深く浸透し、定番食材となっている”お米”ですが、お米を使ったグルメにもその時期のトレンドがあることをご存じでしょうか?本コラムではお米を使ったメニューや食材の最新トレンドを分析・ご紹介します。
飲食店で増えている食材は?
- まずは飲食店で提供されている米飯系メニュー料理のキーワードによる取扱指数(※1)ランキングを紹介します。「定番ランキング(※2)」は取扱指数の大きい順、「増加ランキング(※3) 」は直近1年間の増加率が大きい順にランキングにしたものです。
※1:特定のキーワードについて、ある時点での全店舗数における取扱店舗数の割合を表す数値。(ある時点で1,000店舗あたり何店舗存在するかという指標)
※2:2023年2月~2024年2月の取扱指数平均が高い米飯系メニューのランキング
※3:2023年2月~2024年2月で前月からの取扱指数増加率平均が高い米飯系メニューのランキング(指数が1以下のメニューについては対象から除外。)
定番ランキングでは、「カレー」「お茶漬け」「寿司」がTOP3となりました。「ビビンパ」「クッパ」等の韓国料理もランクインしています。一方増加率では1位は「ピンクカレー」。鳥取産のビーツを使ったピンク色のご当地カレーです。レトルトカレーがきっかけで一部で話題となりましたが、そのSNS映えする鮮やかな見た目から話題となり、レトルトカレーだけではなく飲食店での取扱も増加しています。他にも「穴子丼」「鮭チャーハン」「蟹釜飯」など海鮮食材を使ったメニューが目立っています。
消費者に人気のメニューは?
- 続いて消費者に人気のメニューをランキングでご紹介します。こちらはユーザーの検索頻度を指数化した検索指数(※4)を指標に、「定番ランキング(※2)」は検索指数の多い順、「増加ランキング(※3) 」は直近1年間の増加率の高い順にランキングにしたものです。この指標からユーザーのニーズを把握することができます。
TOP3の中に「寿司」「カレー」が入っているのは取扱指数ランキングと共通していますが、検索では3位に「海鮮丼」がランクインしています。また、取扱指数ランキングではTOP20以内に入っていなかった「タコライス」が上位に来ているのも興味深い結果です。増加ランキングは、「グリーンカレー」「ガパオライス」「タイカレー」など、タイ料理に消費者の関心が高まってきていることがわかります。
※4:ぐるなびサイトや検索サイトからのぐるなびへの流入ユーザーが指定キーワードをどのくらい検索しているかを表す数値。一定期間に検索10万回あたり何回検索されたかで算出
※5:2023年2月~2024年2月の検索指数平均が高い米飯系メニューのランキング
※6:2023年2月~2024年2月で前月からの検索指数増加率平均が高い米飯系メニューのランキング(指数が1以下のメニューについては対象から除外。)
お米の最新トレンドは?注目グルメ3選
- ランキングからわかるように、昨今ではお米を使ったメニューが多様化しています。その中からぐるなびが特に注目する最新のお米グルメを3つご紹介します。
①新たなジャンルが登場!日本人のソウルフード「おにぎり」
まずは「おにぎり」です。昨今の小麦などの食材価格高騰によって国産のお米に注目が集まったことや、外出や行楽の機会が増え、ワンハンドフードの需要が高まったことがブームの背景にあります。都内や首都圏のおにぎり専門店は連日行列ができるほどの人気となっています。
- こちらは2023年~における「おにぎり」の取扱指数と検索指数のデータです。検索は2023年4月をピークに下降しているものの、取扱は2023年4月から12月にかけ増加傾向となっています。
2015年頃ブームとなった「おにぎらず」や、2022年頃話題となった「チュモッパ」など、おにぎりの派生メニューは過去にも登場し話題となっていますが、最新のおにぎりトレンドにはどのような傾向が見られるのでしょうか。注目のジャンルを3つご紹介します。
- 一つ目は「ご馳走おにぎり」です。具材を包むだけでなくふんだんに上に乗せることで写真映えを叶え、SNSを中心に話題になりました。さらに豊富な具材から好きなものを選べるスタイルで提供されることが増え、これが消費者に受けたことで「ご馳走おにぎり」へと進化しました。
- 二つ目は「パリおにぎり」。トマトやオリーブ、サーモン、チーズといったフランスらしい洋食材を具材にしたおにぎりのことです。パリでの日本食の広まり・おにぎりブームを受け、注目が高まっています。
そして三つめは「台湾おにぎり」。肉でんぶの肉鬆(ロウソン)や煮卵などの具材をもち米で包み、俵型に握ったおにぎりのことで、台湾では定番の朝食メニューとなっています。根強い台湾グルメ人気や、昨今台湾式朝食の専門店が増えてきていることから注目のメニューです。
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②アレンジ無限大!グルテンフリーも嬉しい「米粉」
続いてご紹介するのは「米粉」です。2023年頃から米粉の話題を耳にする機会が増えた方も多いのではないでしょうか。米粉を使ったうどんの専門店や米粉スイーツ、米粉パン専門店が登場したり、家庭で作ることができる米粉を用いたスイーツやパンなどのアレンジレシピもSNSを中心に注目されています。
- データで見てみると取扱は2023年2月に急増し、そのあと底上げとなっています。検索については増減を繰り返しています。
流行の背景としては、昨今のグルテンフリーへの関心の高まりや小麦粉の価格高騰で改めて注目が集まっており、小麦アレルギーがある方でも安心して食べられる点も魅力です。
また米粉が原料である「ライスペーパー」のアレンジレシピや、ベトナムの定番料理「フォー」などもここ数年でだいぶ定着してきました、ライスペーパー・フォーは現在は海外産のものが主流ですが、今後日本での浸透が進めば国産米が原料のものも登場するかもしれませんね。
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③海外でSAKEブーム!?「日本酒」
最後にご紹介するのは「日本酒」です。
- 日本酒のデータについては、検索は下降傾向となっていますが、取扱は2023年4月から現在まで上昇傾向となっています。
日本酒は日本では古くから愛されているお酒ですが、現在海外で”SAKE”ブームが起きているというのです。中でもアメリカとフランスで人気が高まっています。アメリカでは日本酒バーの出店が目立っていたり、日本酒の輸入増加が2012年から2022年の10年間で2.3倍に増加しているというデータもあります(出典:財務省貿易統計)。フランスでは、ワインのように日本酒でのペアリングを楽しむコンクール「Kura Master」が開催されたり、輸出量もやはり2022年に過去最高を更新しました(出典:財務省貿易統計)。
インバウンドの観点でも注目が集まっており、訪日客の8割近くが旅行中の食事で日本食とともに日本酒を堪能しているだけでなく、日本酒の酒蔵を訪ねるツアーなども人気を集めているとのことです(出典:日本政府観光局)。また2023年11月には日本酒飲み放題インバウンド向けホテルが浅草にオープンしたりと、盛り上がりを見せています。
また国内では「クラフトサケ」や「日本酒カクテル」 も一部で話題となっています。
「クラフトサケ」とは、日本酒の製造工程で、茶葉や果物などの副原料を混ぜて発酵させ造られるお酒で、日本酒にはない味わいや香りがあるとして注目されている、新しいジャンルのお酒のことです。厳密には日本酒ではありませんが、日本酒の製造技術をベースとして、日本酒では法的に採用できないプロセスを取り入れているのが特徴です。
「日本酒カクテル」とは日本酒をベースに作られたカクテルの総称で、インバウンドの影響や若者の日本酒離れ対策として生み出されました。日本酒に比べ飲みやすいのも特徴で、日本酒にライムを加えた「サムライ」(写真左)が代表的です。他にもさくらんぼなどのフルーツをトッピングしたもの(写真中央)や、ザクロのリキュールで色を付けたもの(写真右)などがあります。
広がる米の可能性
データを交えながらお米関連グルメの最新トレンドについてご紹介しました。単なる主食としてだけではなくあらゆる可能性を秘めている食材、”お米”。今回ご紹介したトレンドグルメ以外にも、今後新たなジャンルが続々登場するのではないでしょうか。