お米の魅力コラム

お米の持つ可能性とは

お米の持つ可能性とは


 今、米の持つ可能性に熱い視線が集まっています。米を従来のように“ご飯”として食べるだけではなく、“米由来の食品”に対する期待の高まりに伴い、新しいアイデアと“フードテック”が集結している状況です。

 背景には、昨今の小麦価格高騰による代替品としての見直しや、日本における人口減少および食生活の変化による“ご飯”消費減少への対策によるところも大きいでしょう。もちろん主食としての需要はいまだ高く、米の品種改良が進むと同時に、各地域のブランド米が多数登場し、各々がそのおいしさやネーミング、宣伝活動などで注目を集めています。一方で、原料として“コメ”を捉えてみるという新しい動きも感じるのです。

 例えば、昨秋に開催された「お米メニューアイデアグランプリ」の応募作品には、ユニークかつ「食べてみたい!」と思われるメニューが多く揃いました。また、今回の「お米の新商品開発」製品化に進んだ内容を見ても、スナック菓子、チーズ風食品、和洋折衷メニュー、新しいアルコール製品等々の他、バイオマスプラスチックといった再生可能素材にまで及んでおり、改めて米のポテンシャルの高さや利用価値、汎用性の高さに驚かされます。と同時に、製品化を進める各事業者様の技術力に希望を感じるでしょう。

 日本人にとって、米に対する好意的なイメージが備わっている点も大事なポイントだと考えます。事業者様がいくら新しい食品開発に励んでも、消費する側が意識を変えなければ市場は広がりません。その点、馴染みがある米の場合、形が変わったとしても受け入れる人は多いのではないでしょうか。

 低下を続ける日本の食料自給率ですが、米の自給率はほぼ100%だそうです。安心・安全な米を国内で継続栽培し、「食べること」「使うこと」を積極的に行うことで、食料安全保障が確保できるばかりでなく、一次産業や地域社会を支え、さらには現状課題についても個々人が興味を持って解決につなげる、そんな流れが出来ていくことを望みます。



本食糧新聞社  新製品事業部
月刊「食品 新製品トレンド」編集長  武藤  麻実子