お米の新商品情報
健康志向に応え米産地のブランディングに寄与、あなたのお米でつくる玄米本みりん【九重味淋株式会社】
健康志向に応え米産地のブランディングに寄与、あなたのお米でつくる玄米本みりん【九重味淋株式会社】
「玄米本みりん市販化」、創業250余年の蔵が製造を開始
1772年創業の九重味淋(ここのえみりん)は、三河みりんの本場、愛知県碧南市の三河みりん発祥の醸造元です。現在も江戸時代から受け継がれる伝統製法で、厳選したもち米、米こうじ、米焼酎のみを原料とする本みりんをつくり続けています。本みりんの製造は、米こうじづくりから始まります。大釜で蒸したもち米に、米こうじを加え、米焼酎と混ぜ合わせて仕込んだもろみを糖化熟成させたら、職人の手で酒袋に詰め、最初は自重で後に徐々に圧力を加えてゆっくりと搾り、大蔵(国の登録有形文化財建造物)で貯蔵され、深い甘みとコクのある本みりんがつくられます。
- これまでも社内の有志によるプロジェクトでオリジナル商品や料理レシピの開発・提案し、日本のみりん文化を伝えてきた同社が、その知見を結集して、これまでにないみりんの開発に挑みました。それが、玄米本みりんです。
開発の背景について、玄米本みりんプロジェクトの中心を担った柴田良一さん(営業部名古屋一課)は、「健康志向が高まる中で、栄養豊富なもち玄米を使った本みりんができれば、健康ニーズに応えながら、日本の伝統的な食文化と米の魅力を広く世界にも伝えられると思います」と話します。
玄米では困難とされた製造技術に挑戦
- これまで、本みりんの製造において、主原料をもち白米からもち玄米に置き換えることは困難とされてきました。なぜなら、果皮がある玄米は、もろみの熟成中に糖化が進みにくいからです。さらに、圧搾し、みりんになった後、貯蔵中に多くのオリが出て作業効率が上がらないことも技術開発の課題として立ちはだかりました。
玄米本みりんプロジェクトで製造技術を担当した黒柳風太さん(品質部研究管理課)は、「今までやったことがない挑戦だったので、さまざまな角度からテストを重ねました。最大の課題は玄米の硬さです。柴田と話し合いながら解決策を検討しました」と振り返ります。
その柴田さんが、「玄米の外側は硬いので、そもそも液体になるのかすらもわかりませんでした」と続けます。今から3年ほど前、玄米本みりん開発の提案がなされた当初、社内には「無理だろう」というムードが流れていたというのも頷けます。
それが、令和6年度 米穀周年供給・需要拡大支援事業を活用し、開発を大きく前進させることができました。その製法は門外不出ですが、本みりん製造の各工程で工夫を重ねて、ついに玄米本みりんを完成させ、商品化へとこぎつけました。今後は特許の取得に動きます。
玄米本みりんの栄養成分調査を行ったところ、本みりんには微量または検出されない(※)ビタミンB1、ビタミンB6、葉酸などが含まれていることがわかりました。※日本食品標準成分表2020年版(八訂)調べ
健康や自然派志向の方から、生活習慣病を予防したい中高年、食事バランスを気にする子育て世代まで、食生活を大切にするあらゆる人に使ってほしい商品ができました。
健康・環境・地域創生、循環型の社会へ思いを込めて
- 玄米本みりん完成からさかのぼること11年前の2013年、九重味淋ではうるち米を原料にしてもち米同様に甘さとコクのあるみりんを製造する技術を確立して特許を取得しています。
それを機に、生産者や産地に向けて「あなたのお米でオリジナル本みりん」と題して、生産者が大切に育てたお米(うるち米、もち米)を本みりんに加工する受託製造サービスを行い、日本各地の米どころの生産者や産地団体が六次産業化やブランディングに活用しています。今回、新たに開発した玄米本みりんは、同サービスのラインナップとして販売を開始しました。
生産者からもち玄米を預かって仕込み、瓶詰めして生産者のオリジナルラベルを貼って納品する仕組み。オリジナル商品を小ロットからOEM製造することができます。玄米本みりんを搾った後のみりん粕も一緒に納品され、生産者は商品として販売したり加工品や料理の材料にすることもできます。
このビジネスモデルにより、玄米本みりんは国産米の消費拡大や生産者や産地のブランディングによる地域創生に寄与し、健康や環境に配慮した循環型社会の実現に貢献できるポテンシャルを秘めています。今後、FABEXオーガニックフードエキスポ、お米未来展、ヘルス&ビューティーグッズEXPOなどに出展し、玄米本みりんをPRしていきます。
- 「国産米は栄養価、文化的な意義、環境保全などに多様な可能性を持つ食材です。特に玄米や米粉は健康志向やグルテンフリー市場で注目され、日本の伝統的な食文化や高品質米が海外で評価されています。米由来の発酵食品やバイオ技術は、持続可能な社会の実現に向けて食と環境の両面で価値があると思います」と、柴田さんが米の魅力を熱く語ってくれました。
創業以来250余年にわたり米を加工原料として扱ってきた九重味淋。これからも革新によって米の可能性が開かれていくのでしょう。
【事業者紹介】
九重味淋株式会社
愛知県碧南市浜寺町2-11
【販売情報】※販売中(2025年2月時点)
生産者や産地団体からの受託製造
電話での問い合わせ:0566-41-0708(九重味淋株式会社名古屋支店 担当:柴田)
webからの問い合わせ:https://kokonoe.co.jp/original_honmirin