お米の新商品情報

お米から生まれた紙に描く、明るく幸せな未来のすがた【株式会社ペーパル】

お米から生まれた紙に描く、明るく幸せな未来のすがた【株式会社ペーパル】

伝統技術を甦らせて生まれた、まったく新しい紙

温故知新。だけど、まったく新しい紙。それが「kome-kami」です。
「kome-kami」は、名前の通りお米を使ってつくられた紙です。日本では古くからお米を接着剤として使う文化があり、それは和紙の製造にも応用されていました。その伝統的な技術に着目し、紙の繊維であるパルプをつなげる化学薬品の代わりにお米でできた糊を開発してつくられたのが「kome-kami」です。
「化学薬品に頼ることなく、お米の力でつなぎ合わせてつくった『kome-kami』は、生成りがかった白さ、風合いのある質感、かすかにしっとりとしたやさしい触り心地が特長。手に取った方の心をほっと温めるような特別な紙です」
そう話すのは、奈良県池田市の株式会社ペーパル(以下、ペーパル)の取締役 矢田和也さん。ペーパルは明治23年(1890年)の創業以来、130年以上にわたって紙の卸を行ってきました。そのペーパルの歴史の中でも初と言える、お米で紙をつくるという挑戦を決意し、プロジェクトの指揮を執っているのが矢田さんです。その挑戦は苦難の連続だったと言います。

  • 「化学薬品のように、パルプをしっかりとつなぎとめるお米の糊をつくるのがなにより大変でした。そのハードルはいくつもありました。まず、お米をどの程度の粒度の米粉にする必要があるのかをいろいろ試さないといけない。次にそれをどうやって糊にするか。そしてその糊で繊維をつなぎ合わせて紙にできるのか。スタートから難題だらけでした」と苦笑いする矢田さん。お米で糊をつくれる職人さんを探して、さまざまな粒度の米粉、そして粘度の糊をつくって試作を繰り返したそうです。お米の粒が残りすぎると紙として使い勝手が悪くなります。また、文字が書きにくい、色の発色が悪い紙では、紙とは言えません。

    「昔と同様、手作業での加工ならすぐに紙はできます。それでは製造量が限られる。ペーパルとしては、つくった以上は一定量を量産し、流通させなければならない。ただ、機械での製造もネックになりました。糊が機械にくっつくと、ほかの紙がつくれなくなってしまうのです」
    さらにお米でつくった糊は、温度や湿度に反応して発酵が始まります。そういった課題をいくつもクリアし、紙製造のための新しい糊「コメバインド」の完成にこぎつけたと矢田さんは話します。
  • 「『kome-kami』はパルプを繋ぐ化学薬品は使わず、自然由来のものだけでつくっています。その結果、1ロットである5トンを製造した際に出るCO2を従来比で62.8kg削減できました。これは杉の木7本分が1年間に吸収する量です。そのうえ、使用後は自然に還すことができる循環可能な紙。『kome-kami』は環境にやさしい紙なのです」
    伝統技術を採り入れることで、これまでなかった新しい紙が生まれたと矢田さんは話します。

使われることで人を救い、社会のためになるkome-kami

「kome-kami」は、新しくて環境にやさしい紙であるだけではありません。未来をより良くする、そんな可能性を秘めた紙でもあるのです。
「『kome-kami』に使うお米は、フードバンクなどに寄せられたもので、使いきれずに古くなって食べられなくなってしまったお米をもらってつくっています。また工業用で使われずに廃棄されるような米粉も使っています」と矢田さんは話します。
日本でも昨今、大きな問題になっているフードロス。その問題を解決したいと考えた矢田さんは、ペーパル内でプロジェクトを発足。それがロスとなる食品を活用して紙をつくる「フードロスペーパー」のプロジェクトです。これまでにもさまざまな紙を開発してきましたが、その中のひとつが「kome-kami」シリーズなのです。

  • 「フードバンクは年々利用者が増えています。一方で寄付金が増えず、資金難になっているフードバンクや、寄せられた食品を使い切れない団体もあります。その一助になればと、フードロスペーパーのプロジェクトを始めました。ペーパルでは、このプロジェクトで生まれた紙の売上の一部をフードバンクに寄付しています。使われずに捨てられてしまう食品を、使われる紙として生まれ変わらせ、経済を回す。そんなアップサイクルに、『kome-kami』がなればと思っています」と話す矢田さんですが、まだまだ寄付できるお金が足りないと感じているとのこと。今後もどんどん「kome-kami」の認知を向上させ、たくさん使われることで、このサイクルを活性化したいと考えています。そのためにも「kome-kami」のシリーズを拡張して魅力的なものとし、使われるシーンを増やしていきたいと話します。

kome-kamiに描く、明るくあざやかな未来のすがた

  • その矢田さんの思いから新たに生まれたのが、2024年2月に発売された「kome-kami」の新商品「浮世絵ホワイト」です。
    「江戸時代に、浮世絵の発色を良くするため、紙にお米の粉を塗布していたという事実を知り、現代に甦らせることはできないか、と開発を続けて来ました」
    お米とパルプを一体化させた原料を薄く引き伸ばし、その表面にお米を原料に使った塗工液「コメグロス」を塗ることで、「浮世絵ホワイト」はつくられています。この新たな塗工液「コメグロス」も、苦労を乗り越え完成させた思いのこもった今までにない素材だと矢田さんは話します。
    「コメグロス」が塗られた「kome-kami」は、印刷面に光を当てるとキラキラと輝くように見えます。鮮やかな発色と相まって、通常の紙では出せない美しさを表現することができるのです。この「浮世絵ホワイト」も、収益の一部がフードバンクに寄付されることになっています。
  • 環境にやさしい。なにより社会貢献にもなる。そんな「kome-kami」の特長を知り、すでにさまざまな企業や官公庁が、広報物やパッケージなどを「kome-kami」を使って制作しています。
    「なかには何度もリピートで増刷していただく企業もあります。そうして『kome-kami』を選択していただくことで、救われる命があり、広がる支援がある。ひいては、社会が、未来がより良くなる。この流れを『kome-kami』を拡販することで、どんどん加速化させていきたい」
    お米を使ってつくった紙「kome-kami」に、矢田さんはこれまでにない明るくあざやかな色で、より良い未来を描いているのです。

 

【事業者紹介】
株式会社ペーパル
奈良県奈良市池田町76-7
https://www.pepal.co.jp/

 

【販売情報】
卸として法人向けに販売
※kome-kami「ナチュラル色」は販売中。「浮世絵ホワイト」は2024年3月から発売予定(2024年2月現在)