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玄米と大豆の新しい出会い。フードテックで生まれた新ジャンル食品は温故知新がテーマ【株式会社エヌ・ディ・シー】

玄米と大豆の新しい出会い。フードテックで生まれた新ジャンル食品は温故知新がテーマ【株式会社エヌ・ディ・シー】

日本の伝統食に倣っておいしさ追求、進化系がんもどき

株式会社エヌ・ディ・シー(岐阜県各務原市)は、自社による大豆タンパク質研究をもとに大豆ミートなどの加工食品を開発・製造するフードテック企業。その高い技術力と開発力で、日本の伝統食である玄米と大豆を掛け合わせた新しい食品を生み出しました。

  • 日本でも大豆ミートが認知され需要が高まるなか、エヌ・ディ・シーでは、大豆ミートと豆腐を掛け合わせた新しいジャンルの加工食品の開発に取り組み、「ギャンモ」と名づけました。和食にとどまらず、さまざまな料理への汎用性がある“進化系がんもどき”です。日本ソイフードマイスター協会を発起人とするギャンモプロジェクトで、参画企業各社による商品開発が進められています。

    その第1弾として、同社が開発した既存商品の「ギャンモボール」は、国際食品・飲料展FOODEX JAPAN2023で発表すると、日本航空ファーストクラスのラウンジで採用されるなどの反響を呼びました。その第2弾となる今回、同社が新たに開発したのは「玄米ギャンモ」。そのテーマは温故知新です。

「世界にはさまざまな種類の代替肉やヴィーガンメニューがありますが、私たちはグルメの観点から、大豆ミートと日本の伝統食を掛け合わせて新しい食品をつくろうと考えました。その鍵となる素材が玄米です」と話すのは、同社代表取締役社長の市川吉徳さんです。味噌汁とご飯、油揚げと酢飯のいなりずしなど、日本人が慣れ親しんだ食文化から見ても大豆と米が合わないはずがありません。

当初は白米で検討を始めましたが、社内でアイデアを出し合う過程で、よりヘルシーなイメージのある玄米で商品開発を進めることになりました。 「玄米には食物繊維とミネラルが含まれています。そこに大豆タンパクが加わることでお米をプロテイン食にできれば、栄養や健康の面からも支持される食品になると期待しています」と市川さんは言葉を続けます。

性質が相反するデンプンとタンパク質、どうやってひとつするのか

  • 同社が開発・製造する「玄米ギャンモ」は、ホテル、レストラン、カフェ、居酒屋向けの業務用食品です。がんもどきの大きな違いは、その用途が和食メニューにとどまらないこと。「玄米ギャンモ」もまた、中華、フレンチ、エスニック、あらゆるメニューに合うベースの味にするために、調味料には和だしを使わず、フライドオニオン、甘酒などを加えています。

    「玄米ギャンモ」の商品開発の難しさは、その成形にありました。いざ、「玄米ギャンモ」をテスト機にかけると、ラボから悲鳴が上がるほどまったく形になりません。

    「玄米と大豆の主成分であるデンプンとタンパクは、水と油のように相反する性質があります。当社の技術はタンパク質で素材をつなげるものですが、デンプンはそれ自体がつながる性質を持ち、どちらの成分でつなげるべきか正解がわかりませんでした」と市川さんは、その難しさを振り返ります。
  • 同社取締役の楳田慎一さんは、「デンプンの粘りは水分量の影響を受けやすいため、今回の事業でデンプンを扱えるように製造機を改良することで、その影響度のコントロールに挑戦しました」と話します。試行錯誤の末、大豆と玄米で別々に生地をつくり、最後に組み合わせる方法で「玄米ギャンモ」をひとつの形にしました。大豆ミートを豆腐でつなぎボール状に成形した表面を、粉体にした玄米パフで覆ったもので、調理済みの揚げ物として冷凍で出荷され、店舗で解凍して温めて使用します。

    「大豆と玄米のヘルシーな揚げ物という位置づけです。プラントベースだから選ぶのではなく、新しさがあり、食べておいしいと感じていただければ狙いどおりです」と市川さんは話します。

米の知見を新たに蓄え、自社技術でその可能性を広げていく

  • こうして、玄米がサクサクと歯ざわりよく、大豆がモグモグと弾力のある楽しい食感で、肉料理のような味わいと食べ応えにもかかわらず食後感は軽く、一品料理としてもおいしく、和洋中のアレンジメニューにも使いやすい「玄米ギャンモ」ができました。2024年2月中旬開催の健康博覧会2024で発表し、商談の機会を創出します。

    「『玄米ギャンモ』はこれが完成形ではありません」と市川さんは、その可能性を語ります。「大豆でそうしてきたように、米の研究を重ねながら知見を蓄え、開発する製品に適した原料米をより高い精度で選んでいきたい」と市川さん。今回は揚げボールという料理の完成に近いものでしたが、シェフや料理人の創意工夫でいろいろな用途に使える形状の「玄米ギャンモ」も考えているそうです。
  • 「食品のひとつのジャンルとして各社からいろいろな『ギャンモ』が出てくれば、大豆ミート市場はもっと面白くなると思います。そのなかで、大豆タンパクを研究しフードテックで新しい食品をつくることをミッションとする私たちが、お米を使ってできることはたくさんあります」と市川さん。相性のいい大豆とのハイブリッドで、米の新たな可能性を拓きます。

 

【事業者紹介】
株式会社エヌ・ディ・シー
岐阜県各務原市鵜沼伊木山1491番地の13
https://www.v-ndc.com

 

【販売情報】※2024年3月頃から販売予定(2024年1月時点)
業務・店舗向けオンライン販売
https://ndc.base.shop