お米の新商品情報
環境の未来を考えた、お米から生まれた米袋 米穀卸売企業による脱プラスチックの新提案【木徳神糧】
環境の未来を考えた、お米から生まれた米袋 米穀卸売企業による脱プラスチックの新提案【木徳神糧】
日本の生産地と消費地をつないできた米穀卸売企業が抱いた使命感
1882年に創業して以来、米穀卸売企業として生産者と販売店・消費者をつないできた木徳神糧。精米技術、品質管理など幾重ものこだわりを注いだお米を、全国広域に築いた流通ネットワークにのせ、日本の米食文化を支えています。
- 身近なところでは、スーパーマーケットやコンビニエンスストアに並ぶ家庭用のお米も木徳神糧が手掛けた製品です。銘柄や産地ごとにお米の個性はそれぞれ。消費者がバリエーションに富んだ製品の中から選択するうえで参考にするのが、お米が入った「米袋」です。製品特徴を端的に説明する米袋は、お米の流通販売に欠かせないものですが、プラスチックが原料のため石油資源の枯渇や廃棄時の二酸化炭素排出など、環境への配慮が課題となっています。
140年以上にわたりお米を扱ってきた木徳神糧は、米産業が抱える課題に着手。研究を重ねた末に、お米を原料に配合した新たな米袋を開発しました。
米袋にまつわる課題解決策としてバイオマスプラスチックに活路
一般的に米袋はお米の品質を保ち輸送の衝撃などに耐えるために、性質の異なるプラスチックを組み合わせて作られています。「プラスチックは必要な素材ではあるものの、米穀卸売事業者として米袋を使えば使うほど環境に負荷をかけてしまう。当社は年間約30万トン、お茶碗に換算すると約44億杯分の日本米を販売しています。米穀卸売業界でもトップクラスの取引量を誇るだけに、経営陣も米袋のプラスチック使用量削減に対する意識が高まっていました」。米穀事業本部西日本営業部門 中四国支店の佐々木さんは現状に課題感を持っていたと語ります。
プラスチックを使わずに米袋を作る、という一見すると絵空事にも見える壮大な挑戦。そこでプロジェクトチームが目を付けたのが、植物などの再生可能資源から作られるバイオマスプラスチックです。同社の米粉工場では製造過程で廃棄米粉が出ており、産業廃棄物として処理されていました。その米粉を原料にバイオマスプラスチックを生産できないかと考えたのです。
- 手始めに米粉を活用したバイオマスプラスチック開発を行う協力会社探しに取り掛かりました。そこでつながりが生まれた企業の協力のもと、米粉配合プラスチックの開発に着手しました。米粉と様々な合成樹脂との組み合わせを試しながら、米袋に求められる耐久性や防湿性、さらには米袋成型機との相性など、いくつもの条件と照らし合わせていきました。試行錯誤の末に実用化の目途がたったのが、合成樹脂に米粉を50%配合したバイオマスプラスチックです。「重量物である米を詰めるため、米袋には相応の耐久性が必要です。少しでも多く米粉を使うことを目指し、1%単位で開発を進めました」。
- 次のステップとして、包材メーカーに協力を仰ぎ、米粉配合のバイオマスプラスチックを20%使用した米袋の製造に成功。1年半ほどの開発期間を経て、2022年10月に業務用米の5kg米袋として実用化テストを開始しました。
お米には無限の可能性がある食用途にとどまらない価値を開拓していく
現在、スーパーマーケットや量販店で販売される家庭用向け精米商品への使用や、米粉の配合比の増加に向けて、米袋の研究を続けています。その過程で、次の世代を担う若い人材も育っています。2021年入社の勝山さんは、「米産業を支える生産者や販売店の皆さんと交流するなかで、お米に対する想いをひしひしと感じています。すばらしい米文化を未来に受け継ぐための一策として、米粉を活用した米袋開発で貢献できればうれしいです」と抱負を語ります。
- 木徳神糧が目指すものは、米袋開発のさらに先にあります。米を食用以外にも活用する挑戦は、日本の人口が減少するなかで、農業人口を確保し米文化を未来に継承するための“希望”になると、木徳神糧では位置付けています。「米袋の開発は、お米の可能性を広げるための第一歩と位置付けています。使用比率を50%まで高めた米袋を実現し、もっと一般的に使用できるようになれば、多くの人にお米に秘められた力を知っていただける。米袋以外にも米粉を活用した製品を開発していくことが今後の課題だと考えています。長年お米に携わって来た私たちだからこそ出来る製品開発で、日本の宝である米文化の発展に貢献していきたいです」。
木徳神糧株式会社
東京都千代田区神田小川町2-8 木徳神糧小川町ビル
https://www.kitoku-shinryo.co.jp/ja/index.html