お米の新商品情報

高校生とタッグを組んで商品化! 若い感性をビジネスマインドで観光資源を創造する【明日香村地域振興公社】

高校生とタッグを組んで商品化! 若い感性をビジネスマインドで観光資源を創造する【明日香村地域振興公社】

古代米の栽培が盛んな村が力を入れる持ち味を活かした加工品開発

  • 奈良県の中央部に位置し、歴史ある飛鳥時代の史跡が残る明日香村。棚田が連なる風光明媚な里には、四季折々の野菜や果物を育てる農園が点在しています。数ある名産品のなかでも、白米のヒノヒカリ、米粉専用米のミズホチカラ、古代米の赤米と黒米という米資源は、米同士を摺り合わせることで風味を保つ小型気流粉砕機で米粉に加工し、菓子をはじめとした加工食品に使用しています。
  • 村の農業振興拠点として農産物を活用した加工品開発を行うのが明日香村地域振興公社です。これまでも、米粉好適品種のミズホチカラや古代米の黒米などのお米を使用した米粉ロールケーキ、奈良県のブランドいちご・あすかルビーを贅沢に使ったチョコレートなどを開発し、明日香村が誇る食の魅力を発信してきました。



自らの組織が主体となり様々な商品を生み出してきた明日香村地域振興公社ですが、今までにない取り組みを進めています。それは「高校生とのコラボレーション」。地元産の米粉とフリーズドライのいちごを使った「お米のフラッペ(古代米フラッペ)」を、高校生が考案したレシピをもとに商品開発を行っています。

プロジェクトの進行役を担う地域農業推進指導員の西野慎一さんは、商品開発のきっかけが2022年に開催された「お米メニューアイデアグランプリ」にあると話します。「玄米米粉のPR施策を検討していたとき、大和高田市立高田商業高等学校の生徒たちが考案した『お米のフラッペ(古代米フラッペ)』の商品化を目指す公募がありました。コンテストで見事入賞を果たす前から米粉の提供に関わっていたので、ぜひ商品化まで携わりたいと思い手を挙げました」。

高校生の感性とこだわりの集大成「お米のフラッペ(古代米フラッペ)」を商品化

  • 「お米のフラッペ(古代米フラッペ)」は、村特産の赤米と黒米をライスミルクベースのフラッペに、豆乳ホイップクリーム、フリーズドライのあすかルビーをトッピングしたフローズンドリンクです。高校生ならではの感性でお米のスイーツ素材としての価値を見出した商品構成は、コンテストの審査員から高く評価されました。

 

  • おいしさも見栄えにもとことんこだわったレシピのため、一般市場で販売する商品としてブラッシュアップするにはいくつもの障壁をクリアする必要があります。同公社が商品化のパートナーとして立候補した背景には、原料の生産・加工から商品開発に至るまでのノウハウを活かせるのではという思いがあったと西野さんは振り返ります。「米粉を飲み物に使用するアイデアは意外で、明日香村の魅力を新たな角度から紹介できるのではと感じました。一方で、原価やパッケージなど、“消費者から支持される商品”にするための要素を生徒たちと共有して、商品化をすすめていく必要があると感じています」。2023年の年明けからで議論や試作を重ね、ターゲットの観光客が買い求めたくなる価格とパッケージ、おいしさを兼ね備えた「お米のフラッペ(古代米フラッペ)」は完成の日を迎えつつあります。

 

農業人口の減少、耕作放棄地の増加……お米には農産地を救う価値と可能性に満ちている

  • 西野さんは「お米のフラッペ(古代米フラッペ)」をまず、村内の農産物直売所に併設している飲食店で販売を開始し、徐々に販路を拡大していく構想を描きます。大規模工場を活用すれば大量生産も可能ですが、種類に富んだお米をはじめとした地元産食材のブランド醸成と、細部にこだわった商品設計を形にするため、小ロットでの販売戦略を採用しました。「コロナ禍が落ち着きつつあるいま、明日香村にも多くの観光客が訪れることが予想されます。ポスターなどの販促物の準備を進め、『お米のフラッペ(古代米フラッペ)』をしっかりPRしていきたいです」と西野さんは意気込みを語ります。

    同公社では、今後も米粉の活用方法を模索していきます。特に古代米の米粉は希少性が高い一方で、色がついている糠の部分に油分があるため麺類やケーキに加工したくても結着しにくいという課題がありましたが、玄米のままで微細粉末が可能な機械の導入やアルファ化の米粉とブレンドすることでもっちりとしたパンやバームクーヘンが作れるまでに進化しています。製粉技術やブレンド技術が向上し、米粉の用途が加速度的に広がっている現状を、西野さんは期待を持って受けとめています。
     

「農業人口の確保、耕作放棄地の有効活用が課題となる明日香村にとって、機械による栽培・収穫方法が確立され、限られた人員で生産できるお米は救世主的存在です。お米をご飯だけでなく、食材としての可能性を理解いただき、お米の生産量が増えていく未来を考えると、その用途をしっかりと確保していく必要があります。『お米のフラッペ(古代米フラッペ)』もそのひとつです。明日香村の食の魅力を発信すると同時に、棚田が連なる美しい原風景、そして歴史ある一次産業を伝承するためにも、米粉を活用した商品開発に一層力を注いでいきたいです」。

【事業者紹介】
一般財団法人明日香村地域振興公社(あすか夢耕社)
奈良県高市郡明日香村大字真弓1042番地 アグリステーション飛鳥
https://www.asukadeasobo.jp/