お米の新商品情報

冷凍してもおいしいお米を、熱い想いで開発! 業務用米の食味向上とともに流通構造を改革する【八代目儀兵衛】

冷凍してもおいしいお米を、熱い想いで開発! 業務用米の食味向上とともに流通構造を改革する【八代目儀兵衛】

コロナ禍で生まれた新需要においしさで応える「冷凍米飯専用米」

京都で200年以上の歴史を誇る老舗米屋にルーツをもつ八代目儀兵衛は、生産者が丹精を込めて育てたお米のおいしさを現代に伝える飲食業態「米料亭」や、家庭に料亭さながらのお米のおいしさを届けるEC通販など、お米にまつわる様々な事業を展開しています。なかでも、業務店卸売事業は全国各地にある200種類以上のお米の特徴を知る「お米マイスター」が、飲食店ごとのオーダーに合わせてブレンド米を調合する卓越した技術で、星付きの著名な飲食店やホテルをはじめとした全国の飲食店から信頼を得ています。

  • 歴史ある米屋として長年にわたり飲食業界を支えてきた同社の転換点となったのは2019年。コロナ禍に入り、社会的な外食の自粛、“おうち時間”に代表される中食や内食の台頭という食産業の変容に直面しました。現代の食産業のニーズに応えるべく、新たな挑戦と銘打って開発した商品が「冷凍米飯専用米」です。

 

共働き世帯の増加やタイムパフォーマンスを重視するライフスタイルの普及により、「冷凍食品・チルド食品」の需要は高まっていましたが、コロナ禍の巣ごもり需要を追い風に同カテゴリーはさらに注目を集めています。飲食店も外食業態を補う新たな事業の柱として、家庭でお店の味を楽しめる冷凍商品を開発し、その流れは寿司や弁当といったお米を使った食品にまで広がっています。「冷凍米飯専用米」は、家庭で再加熱しても炊き立てのような味わいを楽しめるよう研究を重ねて誕生しました。
 

奥義秘伝のブレンド技術を冷凍条件下で輝かせるための試行錯誤

  • 「冷凍米飯専用米」のバリエーションは、寿司専用米と弁当専用米の2種類。寿司シャリのほどけるような食感、弁当のおかずに合うもちもちとした弾力など、それぞれ独自の配合のもと、理想の食味を実現しました。商品開発を主導した同社取締役の松下祐さんは、「『お米ひとつで料理のおいしさは格段に増す』。私たちは飲食店や消費者の皆さんに、お米の価値を知っていただきたく事業を展開してます。冷凍食品においても、お米で既成概念をくつがえすべく、いままでにない商品開発に挑みました」と話します。

 

  • 飲食店の要望や料理に合わせたブレンド米の調合は、八代目儀兵衛にとって“お家芸”と呼ぶにふさわしい伝統技術です。甘み、香り、弾力、ツヤ、粘り……、お米ごとの特徴や一長一短の個性を理解し、お米マイスターは思い描く理想の食味を目指して、数種類のお米を緻密な比率で配合していきます。自身もお米マイスターとしてオーダーに応える松下さん。時間と手間をいとわず、顧客が求める答えを地道に探し続ける理由を、「世間的に『業務用米=安いお米』というイメージをもたれています。栽培方法や生産量によって価格差は生じますが、お米そのものに優劣はありません。当社が確立したブレンド技術は、お米ごとの『味を重ね合わせる』ことで深い味わいを生み出し、業務用米の地位向上の源泉になっています」と説明します。

そんな歴史ある米屋にとって、冷凍してもおいしいブレンド米の開発は初めての試み。寿司用・弁当用ブレンド米のノウハウはもちろん豊富ですが、電子レンジで再加熱(リヒート)することを前提に、一から使用銘柄を選定しました。冷凍環境下でも品質が保持され、再加熱後に想定した食味を再現するため、数十種類ものブレンド米を試作したと松下さんは振り返ります。「寿司専用米の場合は酢飯として冷凍されます。冷凍寿司メーカーさんを訪問して勉強させていただくと、一般的な寿司酢では酸や香りが飛んでしまうことを知り驚きました。調味料との相性を一層意識してブレンド米を開発したのは初めての経験です」。新たな知見を吸収しながらの研究開発の末に完成した「冷凍米飯専用米」は、うなぎ屋をはじめとしたお米のおいしさを重視する飲食店も評価するクオリティに仕上がりました。
 

業務用米の間口を広げる新たな挑戦米産業の垣根を取り払い、皆で発展を目指す

  • 冷凍食品事業という飲食店の新たなニーズに応える「冷凍米飯専用米」を普及させるべく、同社は2023年1月に業務用ECサイトを開発しました。小ロットのオーダーにも対応する体制のもと、零細飲食店にもブレンド米の価値を提案していきます。日本の隅々まで流通ネットワークを敷く背景には、商品開発や販路開拓といった部分的な課題解決にとどまらない、米産業全体の未来を見据えた想いがあります。
     
  • 「米産業に従事する生産者、流通・米卸業者、小売業者は、それぞれ使命感をもって事業に励まれています。しかし、川上から川下までの“連携・連帯感”という観点ではまだまだ改善の余地はあるのではないでしょうか。『おいしいお米を栽培したら終わり』『顧客が求めるお米を販売したら終わり』ではなく、ひとつのお米にまつわるストーリーやこだわりを、各事業者がバトンのように引き継いで消費者に伝えていく。さらに、消費者の反応やニーズをくみ上げ、生産者や米卸業者にフィードバックする。産業全体が一体となり実現できれば、お米の込められた本当の価値が社会に認知され、お米の発展性のある未来を描いていけると信じています」と熱を込める松下さん。200年以上にわたり米産業と共に歩んできた老舗米屋は、新たな挑戦で産業の未来を切り拓いていきます。

【事業者紹介】
株式会社八代目儀兵衛
京都府京都市下京区西七条北衣田町10
https://hachidaime.com/