お米の新商品情報
米文化を映すジャパニーズウイスキー 時間をかけて育む、お米の新たな可能性【木内酒造株式会社】
米文化を映すジャパニーズウイスキー 時間をかけて育む、お米の新たな可能性【木内酒造株式会社】
創業200年の酒造会社が手掛けるウイスキー事業
- 1823年に創業し、茨城県那珂市を中心に日本酒などの種類製造を行う木内酒造。常陸野の豊かな地下水と、その自然の恵みと米農家の手間隙により育てられた酒米で醸す日本酒は、地域を代表する特産品です。伝統ある酒蔵ですが事業領域は日本酒にとどまらず、クラフトビールに参入し国内外のコンテストで受賞しています。“伝統と進取の精神の融合”を掲げた、常識にとらわれない事業展開が信条です。
挑戦心が息づく同社は、2016年よりウイスキーづくりをスタートしました。目指すのは、木内酒造だから生み出せるジャパニーズウイスキー。日本酒やビールなど様々な醸造技術や経験を結集した新たな取り組みは、2022年発売の「日の丸ウイスキー」として形になりました。
地元茨城県産の大麦や小麦、米の風味を効かせ蒸溜した原酒を、昼夜の気温差が大きい筑波山麓の環境下で熟成させた味わいは、発売当初から国内外から注目を集めています。日本らしい国産のさくら樽の中で熟成させたものや、ワイン樽で熟成を仕上げた一本など、趣向を凝らしたバリエーションも特徴です。
創業から200年、歴史ある酒造会社の新たな歴史として幕を開けたウイスキー事業は、次なる挑戦に差し掛かっています。現在取り組んでいるのは、茨城県産「八郷のコシヒカリ」の発芽玄米を使用した「ライスウイスキー」の開発です。
米そのものの持ち味を引き出す「ライスウイスキー」の開発
- 「ライスウイスキー」の開発は2つのステップで構成されます。現在木内さんたちが取り組んでいるのは、ライスパウダー(米ぬか)を原料とする「ライスウイスキー」の醸造です。酒蔵で日本酒を醸造するなかで大吟醸酒の場合、酒米の半分以上を磨く(取り除く)ため、副産物として大量の米ぬかが出ます。純度の高いでんぷん質を含む米ぬかを選別して、ウイスキーの原料として活用しています。米ぬかのでんぷんが酵素により糖分に分解され、酵母の作用でウイスキー原酒へと発酵していきます。「大麦原料のウイスキーは発酵によりバニラやココナッツを思わせる香りですが、ライスパウダーを原料とするウイスキーはフルーツ香が生まれます。興味深いのは、同じ米原料の蒸溜酒である米焼酎とは異なる香りに仕上がる点です。ウイスキーは開発を進めるたびに発見がある奥深いお酒だと実感しています」。
ライスパウダーを使った「ライスウイスキー」は展示会などに出品し、流通事業者や飲食事業者からも好評。第一ステップの目途がたち、現在は第二段階の「発芽玄米を原料とするライスウイスキー」の開発準備を進めています。モルトウイスキーでは、収穫した大麦を発芽させることで大麦自体の糖化酵素を活性化させます。同社では玄米を発芽させると大麦同様に糖化酵素を作り出せることを発見。米そのものが持つ酵素と栄養で醸す「ライスウイスキー」誕生の道筋が見えてきました。
茨城県の風土が育むジャパニーズウイスキーを世界へ
- 発芽玄米原料の「ライスウイスキー」の商品化は2026年頃を予定しています。発酵、蒸溜、そして樽熟成。地域の原料を用いて長い時間をかけて育むウイスキーの世界に、木内さんたち開発チームは魅せられていると言います。「アメリカはとうもろこしを使ったバーボンウイスキー、アイルランドではライ麦を原料とするアイリッシュウイスキーなど……。ウイスキーはその地域の穀物文化を映すものです。そう考えると、日本にお米を使ったウイスキーが生まれるは必然と言えます」。茨城県にはコシヒカリや酒米品種のひたちにしきなど多彩な米が栽培されており、木内さんらは地元産米とウイスキーのかけ合わせが生む「ライスウイスキー」との出会いを心待ちにしています。
【事業者紹介】
木内酒造株式会社
茨城県那珂市南酒出808
https://kodawari.cc/