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小樽からグローバルに発信するプレミアム日本酒「銀鱗荘」【株式会社ニトリパブリック】
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小樽からグローバルに発信するプレミアム日本酒「銀鱗荘」【株式会社ニトリパブリック】
プレミアム路線でアジア圏に日本酒を広めたい
ニシン漁で栄え、北海道有数の観光地として多くの人が訪れる小樽市。石狩湾を望む同市の高台にたたずむのが、かつてニシン御殿として建築され、荘厳な意匠がいまなお目を引く高級旅館「料亭湯宿 銀鱗荘」です。そして、このほど「北の迎賓館」とも称される同旅館をイメージした、珠玉の日本酒が生まれました。その名も「銀鱗荘」と名付けられた純米大吟醸酒が生まれた経緯や思いを、料亭湯宿 銀鱗荘を運営する株式会社ニトリパブリック(以下、ニトリパブリック)に伺いました。
- お話を聞いたのは、グローバル開発部の柏木勇成さんと古川由香さんのおふたり。まず、純米大吟醸酒「銀鱗荘」のコンセプトについて聞くと「私たちは輸出事業を展開していますので、海外に北海道の魅力をアピールしていきたいと常々考えています。その中で今回は国内外問わずグローバルに通用する日本酒の開発を目指しました。そこで、海外の方も多く宿泊してくださっている銀鱗荘のブランド力を生かし、高級旅館の和食会席に合う本格派・プレミアム路線で開発していきました」と営業企画チーフの柏木さんは話します。
「銀鱗荘」は、小樽を中心とする後志管内に根差した酒蔵や原料が使用されています。酒蔵は今では小樽で唯一となる老舗、酒米はニセコ町の契約農家で収穫された酒造好適米「彗星」、そして小樽天狗山からの伏流水など。チーフプランナーの古川さんは「原料と酒蔵と料亭湯宿 銀鱗荘。全てが小樽でつながる日本酒だからこそ、その魅力を一層伝えられると考えました。海外の人たちの好みの傾向など酒蔵と何度も打ち合わせを重ね、2023年より構想、2024年7月から開発をスタートして、年末近くに完成しました」と開発の流れを振り返ります。

海外の人にも好評な日本酒のすっきりした味わい
- 開発の過程で、上海で開催された食品見本市の会場で海外、特に中国圏の人たちに試飲会を実施。来場者の中には日本酒好きの人たちが多く、和食とペアリングして試飲してもらったところ、すっきりした味わいで食事に合うとおおむね高い評価を得ました。柏木さんも古川さんも手ごたえを感じたといいます。

- 今回の米穀周年供給・需要拡大支援事業の補助金は、「銀鱗荘」の商品開発やプロモーションなどに活用されました。パッケージの開発もそのひとつですが、パッケージのデザインには海外の人たちの意見が取り入れられています。「銀鱗荘の名にちなみ、銀や藍色をあしらったデザイン案も考えましたが、海外の方々にはゴールドを取り入れた色合いが好評でした。そこで、国の登録有形文化財である当旅館の歴史的価値をふまえ、高級感ある黒をベースに、ゴールドとセピアカラーを取り入れたデザインにしました」と柏木さんは話します。
また「ボトル(瓶)についても、よく見かける日本酒のボトルよりも太い瓶を使用しています。落ち着いた感じに見え、高級感があり見栄えが良いという海外の人たちの声を反映しました。このボトルに合わせた製造工程を整えてくれた酒蔵さんにはとても感謝しています」と古川さんは続けます。
商品ラインナップは、180mLと720mLの2種。これで、純米大吟醸酒「銀鱗荘」の“カタチ”が決まりました。

若者世代に新しい日本酒の飲み方を提案
- まず、中国を皮切りにアジア圏市場に「銀鱗荘」を販売していく計画とのことですが、国内市場への取り組みもしっかり進められています。旅館・銀鱗荘へのインバウンド需要も見込んだ、海外市場向けのプレミアム路線に対し、国内市場向けには、若者世代をターゲットに「日本酒DIY」という新しい飲み方を提案していくといいます。
DIYのように「銀鱗荘」と各種ドリンクをミックスして、一人ひとり自分だけのお酒をつくって楽しんでもらおうという狙いです。
「若者の日本酒離れが進んでいると言われていますが、ある調査では、Z世代などの若者ほど日本酒へのチャレンジ傾向があることがわかっています。日本酒と気軽に接する機会があれば、若者世代にも浸透できるはず」と考え、「銀鱗荘」と北海道のご当地ドリンクをペアリングして自分でアレンジできる“DIY飲み”であれば、良いきっかけになるのではと柏木さんは話します。
その皮切りとして、2月に開催されるさっぽろ雪まつりでは、『銀鱗荘』と出汁をペアリングした出汁割りを提供して、大人世代や海外からのインバウンド客にも、『銀鱗荘』を知ってもらう好機にしたい」と、古川さんは意気込みを語ります。

これから「銀鱗荘」とともに、小樽、ひいては北海道の人気拡大を狙うおふたりに、今後の展望や米の可能性について最後に聞きました。
「北海道は今の日本で唯一酒蔵が増えている地域です。酒造りに適した冷涼な気候やおいしい米の生産量が豊富であるゆえだと思います。また、道産酒造好適米の道外への供給量が10年前の約1.8倍に増え、全国で使用され始めています。この波を『銀鱗荘』を通じて広げていきたいと思っています」と、柏木さんが、米の可能性と「銀鱗荘」への思いを話すと、続けて古川さんが「さっぽろ雪まつりでは、甘酒も提供します。日本酒の製造工程で生まれる酒粕や米ぬかは、甘酒や粕漬けなどの原料になります。私たちはこれらを商品化し、副産物原料の高付加価値化を図ることで、価値を高めていきたいと考えています」と、今後の展望について話してくれました。
スパークリングや旅館・銀鱗荘限定で提供するしぼりたて生酒などの「銀鱗荘」のバリエーション展開も検討しているというニトリパブリック。アイデア豊かな同社によって、北海道や道産米の一層の認知・需要拡大を期待せずにはいられません。
【事業者紹介】
株式会社ニトリパブリック
北海道札幌市北区新琴似7条1-2-39
https://www.np-inc.jp
【販売情報】(2025年1月時点)
銀鱗荘、小樽市周辺観光施設など