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専門店のようなふっくら食感と具だくさんを実現した大きなおむすび【わらべや日洋食品株式会社】
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専門店のようなふっくら食感と具だくさんを実現した大きなおむすび【わらべや日洋食品株式会社】
プロが手で握ったような仕上がりを新規設備で再現
大手コンビニエンスストアにお弁当やおむすび、お惣菜などを提供しているわらべや日洋食品株式会社(以下、わらべや日洋食品)では、若年層の米の消費が減っている中で、さらに消費拡大を目指すため、消費者ニーズを捉えた新たなおむすびとして「どーんとおむすび」を開発しました。
- 「コンビニで購入したくなるおむすびについて、アンケートでお客様のニーズを調査したところ、ご当地食材を使ったおむすびや健康感のあるおむすびなどとともに、大きなサイズのおむすびへのニーズが高いことがわかりました。最近では、具がたっぷり入った大きめのおむすび専門店がメディアで多く取り上げられ、SNSでも若年層から支持されています。コンビニで専門店のおむすびサイズを再現することで、新たな価値を訴求できると考えました」と、執行役員の浅野亮嗣さんは話します。

- これまでも大きなおむすびは商品として展開していましたが、今回はより具の量を多くした具材感たっぷりのおむすびを目指しました。研究・開発に力を入れたのが、専門店のおむすびのようなふっくらとした食感の再現です。
「これまでのおむすびの製造では、ご飯を成型機で複数回プレスし、崩れにくい商品に仕上げていました。しかし、今回のおむすびは、プレスを極力減らしてふっくらとお米が口の中でばらけるような食感にしたい。しかも、大きな具材を挟んで包装しても飯崩れしないようにしたい。その最適なバランスを実現するのに苦労しました」(浅野さん)

専門店のおむすびは、握る際に極力ご飯に圧力を加えないことで空気が入り、ふっくらとした仕上りになります。その握り方をどう再現すれば良いか、実際のおむすびのエックス線写真を撮影して米粒の状態や空気の入り具合などを観察し、何度も試作をして研究したそうです。
そして、完成した「どーんとおむすび」をコンビニエンスストアで全国展開するため、おむすび製造ライン設備を新規に開発・導入しました。
「ご飯をふっくらと成型し、そこに人の手で具材を乗せて、成型したもう1つのご飯でサンドして海苔を巻き、包装機で包むという一連の作業をするためのライン設備を導入しました。全国のコンビニに『どーんとおむすび』を供給するためには、1つの製造ラインで最低でも1時間に2000個以上の商品ができないといけません。試作品のとおりの食感を再現するために、設備機器メーカーさんには多大なご協力をいただきました」と浅野さんは振り返ります。
ワンハンドで手軽に食べられる商品として売れ行き好調
- 使うお米によってもおむすびの食感は大きく変わります。購買部の佐藤大生さんに原料の調達について伺いました。
「どーんとおむすび1個の米の量は通常の1.5倍ほど。ご飯のほどよい粘りと食べたときのばらけ感の両立や、製造してからお客様の手に届くまでの時間を考えて、時が経ってもおいしく食べられるように、商品に適したお米を調達しブレンドしています。具材も商品によっては40g以上入っており、品質の安定したものを大量に仕入れなければなりません。近年の夏の高温で海苔の品質に影響が出るなど数量の確保が大変で、原料の調達にはとても気を遣っています」

- 2024年10月から全国のコンビニエンスストアで「どーんとおむすび」の販売を開始。具材は「のり弁」や「ポークたまご」といった定番と、「アジフライ」など期間限定のものを常に開発し展開しているそうです。「のり弁」は、おかかの佃煮入りのご飯に白身魚のフライや磯辺揚げ、辛子明太子が入っており、ボリュームも味わいも満点です。

「タイパ・コスパが注目される中、片手で手軽に食べられる満足度の高い商品として売れ行きは好調です。メイン客層は40~50代男性ですが、来店者数を増やしたい若年層にも人気で、コンビニの客層の底上げにも貢献できていると思います。お客様は『どーんとおむすび』とサラダを一緒に購入するなど、好きなものと組み合わせてワンコインレベルで収まる買い方が好まれているようです」(浅野さん)
お米農家さんとともに、さらなるお米の価値向上を
- 最後にお二人に今後のお米の可能性をお聞きしました。
「これまで米離れが危惧されてきましたが、今これだけたっぷりご飯が入っているおむすびが売れている現状を見ると、まだまだ米には可能性あると思います。おむすびなら具材や見た目を変えてみたり、今度は一口サイズの小さなおむすびにチャレンジするのもありかもしれません。日本人はやはり米が好きだと思うので、今後も開発を続けていきます」と浅野さん。
「例えば最近、フードロス対策として賞味期限が長いチルド弁当が注目されています。チルド弁当は電子レンジを使って温めますが、米が固くなりがちなので、そうならない米が必要になります。今後、各産地の米農家さんの話を聞くなど、新たな商品に合う米を探して、米の価値や新たな需要を高めていきたいと考えています」と佐藤さん。
浅野さんもその言葉に頷きながら、「品種改良やお米のつくり方を工夫しているお米農家さんが全国にいます。米の価値を向上させる方法はまだまだあると思います。それこそ、おにぎり専用の米をつくっていただくとか、今後のお客様のニーズを捉えながら、ともに歩んでいけると良いですね」とお米の未来を語ってくださいました。

【事業者紹介】
わらべや日洋食品株式会社
東京都新宿区富久町13-15
https://www.warabeya.co.jp/
【販売情報】(2025年1月時点)
・大手コンビニエンスストア