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誰もが同じ一杯を味わえる、食の制約を越えた米の麺を京都から世界へ【株式会社ムシロジックホールディングス】

誰もが同じ一杯を味わえる、食の制約を越えた米の麺を京都から世界へ【株式会社ムシロジックホールディングス】

豆乳パティシエが麺に託した「誰もが同じものをおいしく」

  • 京都市内でヴィーガン・グルテンフリー対応のラーメン店3店舗とパティスリーを運営するムシロジックホールディングス。さまざまな食の制約を抱える人にも「遜色ない一杯」を届けたいとの思いから麺を突き詰め、たどり着いたのが、国産米粉と自社で育種した大豆品種「香潤(こうじゅん)」を掛け合わせた半生麺「WOOMEN(うーめん)」です。
  • 豆乳パティシエが麺に託した「誰もが同じものをおいしく」
  • 京都駅ビル、祇園、三条の改装町屋などに展開する「豆乳らーめん うのゆきこ」には、海外からの観光客が絶えません。アレルギー、グルテンフリー、ヴィーガン、宗教上の制約などを抱えながらも日本の食文化に関心を寄せ、クチコミを頼りに足を運ぶ人が多いといいます。

    「除去食として仕方なく選ばれるのではなく、誰が食べてもおいしいと思ってもらえるものをつくりたかった」。そう話すのは同社代表の鵜野友紀子さんです。京都生まれのパティシエとして活動してきた鵜野さんは、23種の食品アレルギーを持つ子どもとの出会いをきっかけに、17年前から豆乳を用いた菓子づくりに取り組み、「豆乳パティシエ」を名乗ってきました。
  • 豆乳パティシエが麺に託した「誰もが同じものをおいしく」

食のバリアフリー化とプラントベースは、鵜野さんの活動の核です。2022年に創業した「豆乳らーめん うのゆきこ」でも、動物性食材に頼らず、コクと満足感のある一杯を追求してきました。一方で、最後まで課題として残ったのが麺です。従来の米粉麺では、小麦麺と比べたときの香りや食感の物足りなさを、どうしても拭いきれませんでした。

そこで着目したのが、鵜野さんが豆乳をつくるために自ら育種し、契約農家とともに栽培してきた大豆品種「香潤」です。甘みとコクがあり、臭みの少ない特性を麺に生かせば、米粉麺の弱点を補えるのではないか。そう考えて麺づくりの挑戦が始まりました。

工場を間借りして量産を見据えて検証、理想の麺を形に

  • 国産米粉と自社育種大豆という組み合わせは、独自性を生む一方で開発の難易度を大きく引き上げました。グルテンを含まない原料では生地がつながりにくく、歯切れやコシが出にくい。さらに時間の経過で食感が変わりやすいなど、複数の課題が同時に立ちはだかります。

    「正直、大変でした。うまくいったと思っても、数日後にはまったく違う状態になることも多かったです」と鵜野さんは振り返ります。
  • 工場を間借りして量産を見据えて検証、理想の麺を形に
  • そこで同社は、徳島県の製麺工場のラインを丸ごと借り、試作とテストを集中的に行う体制を整えました。試した配合は200通り以上。米粉も数十種類を試用し、加水量や練り方、温度条件まで細かく検証しました。家庭用機では難しかった量産化の設計にも踏み込み、思い立ったらすぐにつくって確かめられる環境で集中的に検証を重ねたことが、試行錯誤の密度を高め、開発を前に進めました。

    食感の決め手となったのは、麺の切り方です。機械で均一にカットするのではなく、手切りを採用し、太さにわずかなばらつきを持たせました。噛んだときの歯切れやコシに「遊び」が生まれ、角の立った断面が食感を引き締めます。米粉麺に出やすいぬめり感を抑える狙いもありました。

    原料の特性を理由に妥協せず、食べ応えと満足感を備えた麺として仕上げる。その方針で工夫を重ね、賞味期限6カ月への道筋をつけました。
  • 工場を間借りして量産を見据えて検証、理想の麺を形に

プラントベースの要として、世界に広がる米の可能性

  • 約半年の開発期間をかけて完成したWOOMENは、試食や店舗提供を通じて評価を重ねてきました。2025年12月中旬に行われた試食会には、製麺事業者や商社、自治体関係者などが参加。あえてシンプルなだしで麺そのものを味わってもらう構成とし、「米粉麺とは思えない」「違和感がない」といった反響が寄せられました。原料や製法への先入観を超え、麺としての完成度が評価されたことは、大きな成果です。
  • プラントベースの要として、世界に広がる米の可能性
  • こうした反応を受け、WOOMENは実店舗にも段階的に導入されています。2025年12月に京都駅ビル拉麺小路へ出店した店舗では、すべてのラーメンメニューにWOOMENを使用。三条店でもオプションで提供するなど、従来の米粉麺からの置き換えが進んでいます。

    豆乳ベースのスープはコクと奥行きがあり、野菜や大豆ミートを中心とした具材も豊富です。複数のスパイス調味料を添え、食べ進めるごとに味わいが変化する仕掛けも用意しました。そこに、見た目や食感の点でも一般的なラーメンと遜色のない米粉麺を組み合わせることで、日本のラーメンを目当てに来店する人にとっても違和感のない一杯が成立しています。さらに残ったスープに発酵玄米ご飯と炙り豆乳チーズを加え、リゾット風にして締めまで楽しめる構成が、ラーメンの体験価値を高めています。
  • プラントベースの要として、世界に広がる米の可能性

「世界中でラーメンが食べられない理由は、人それぞれ違います。だからこそ、文化や食習慣の違いに寄り添いながら、自然に選ばれる麺に育てていきたい」。鵜野さんはそう語ります。まずは2026年2月初旬にドバイで開催される国際食品展示会でWOOMENを発表する予定です。ただし目指すのは短期的なブームではありません。時間をかけて受け入れられる商品として、海外でも継続的に選ばれる状態をつくることを見据えています。

今後、函館空港や浅草エリアへ冷凍商品の販売拠点を広げる計画もあります。ターゲット層への導線を確保し、多国籍の消費者に向けて「米と豆の新しい麺体験」を訴求する機会を着実に増やしていく考えです。

WOOMENという商品名には、驚きに加え、ウェルネス、オリジナル、オムニ(万人の)といった意味も込めたといいます。日本の米を使った麺が、世界の食卓で当たり前の選択肢になること。WOOMENはその入口として、米の新たな可能性を広げようとしています。

 

※本記事は2026年1月時点の情報です

 

【事業者紹介】
株式会社ムシロジックホールディングス
京都府京都市左京区一乗寺里ノ西町78番地
https://mushilogic.com/

 

【販売情報】(2026年1月時点)
・株式会社ムシロジックホールディングス(卸・輸出)

・UNO RAMEN -Kyoto Station-(喫食提供)
 京都市下京区東塩小路町901 京都駅ビル10階 京都拉麺小路

・SUSHI & IZAKAYA UNO RAMEN -Sanjo-(喫食提供)
 京都府京都市東山区亀井町40